子育てママの転職では、試用期間中に「本採用の判断基準」と「子どもがいる生活で無理なく働ける条件」を確認することが大切です。試用期間だから、会社が理由なくいつでも辞めさせられるわけではありません。一方で、勤務条件の認識違いや、子どもの急な体調不良への対応を確認しないまま働き始めると、入社後に負担が大きくなることがあります。
試用期間中に最初に確認したい勤務条件
まずは、求人票や面接時の説明だけでなく、労働条件通知書や雇用契約書で、試用期間中の条件を確認します。
- 試用期間の長さと、延長される条件
- 試用期間中の給与、手当、賞与、社会保険
- 勤務時間、残業、休日、在宅勤務の可否
- 勤務地や転勤の有無
- 本採用にしない場合の判断基準
- 子どもの送迎や急な休みに関する連絡方法
試用期間中だけ給与や勤務時間が異なる場合は、その内容と期間を確認しましょう。求人情報に書かれていない条件を口頭で説明された場合は、後で確認できるよう、メールなどで内容を残しておくと安心です。
「試用期間」と「本採用」はどのような関係か
試用期間は、会社が勤務態度や能力などを見て本採用するか判断する期間です。ただし、一般的には入社時点から労働契約が成立しており、試用期間中であれば理由なく自由に契約を終わらせられる、という意味ではありません。
会社が本採用を拒否したり、試用期間中に解雇したりする場合も、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められないときは無効となる可能性があります。解雇の有効性については、労働契約法第16条に定められています。
たとえば、採用時に説明されていなかった基準を後から持ち出す、子どもの病気による法令上の休暇取得だけを理由に不利益な扱いをする、といったケースでは、経緯や理由の確認が必要です。ただし、実際の有効性は契約内容、勤務状況、会社の説明などによって変わります。
子どもの急な体調不良に備えて確認すること
入社前または試用期間の早い段階で、子どもが急に発熱した場合の連絡方法と、利用できる休暇制度を確認しましょう。確認する相手は直属の上司だけでなく、人事・総務担当者でも構いません。
- 欠勤、遅刻、早退、在宅勤務のどれで対応できるか確認する。
- 連絡先、連絡する時刻、必要な手続きを確認する。
- 子の看護等休暇、年次有給休暇、会社独自の休暇制度の対象を確認する。
- 休んだ日の給与、評価、勤怠上の扱いを確認する。
- 同じ部署で実際に利用されている制度があるかを、可能な範囲で確認する。
子の看護等休暇など、法律上の制度の対象になるかは、子どもの年齢、雇用期間、労使協定などによって異なる場合があります。制度名だけで「必ず使える」「試用期間中は使えない」と判断せず、会社の規程と自分の雇用条件を確認してください。
試用期間中の時短勤務や残業免除は自動的に使えるのか
子育て中であっても、すべての希望が自動的に認められるとは限りません。所定労働時間の短縮、残業の免除、時間外労働の制限などは、子どもの年齢や雇用形態、会社の制度によって利用条件が決まります。
一方で、育児休業の申出・取得や、子育てに関する法令上の制度の利用を理由として、解雇、降格、減給などの不利益な扱いをすることは禁止されています。育児・介護休業法の制度や不利益取扱いについては、育児・介護休業法を確認できます。
ここで注意したいのは、制度を利用したことへの不利益な扱いと、勤務実績や業務上の適性を評価することは同じではない点です。会社が制度利用とは別の具体的な理由を示している場合は、評価の基準や事実関係を確認する必要があります。
子育てを理由に不利な扱いを受けたと感じたときの注意点
次のような出来事があった場合は、すぐに「違法」と断定せず、日時や発言、勤怠、会社からの説明を記録してください。
- 子どもの送迎や看護について相談した後、突然仕事内容や勤務地を変えられた
- 制度を利用したことを理由に、退職を促された
- 試用期間を延長する理由や本採用を見送る理由が説明されない
- 他の社員には認められている勤務調整を、子育て中であることだけを理由に拒否された
- 採用時の説明と異なる残業や勤務時間を一方的に求められた
確認するときは、「なぜその評価になったのか」「どの勤務実績や基準に基づくのか」「いつまでに何を改善すればよいのか」を具体的に尋ねます。感情的なやり取りを避けるため、面談後に「本日の確認内容」としてメールで整理しておく方法もあります。
試用期間中に自分から確認しておきたい評価基準
本採用の判断が不透明な場合は、次の点を確認しましょう。
- 本採用を判断する時期
- 評価する項目と、求められる業務水準
- 研修や引き継ぎの内容
- 改善を求められた場合の期限と方法
- 評価結果を本人に伝える時期
「頑張ってください」「様子を見ます」だけでは、何を改善すればよいか分かりません。業務の正確さ、処理件数、顧客対応、報告の方法など、確認できる形で基準を聞くことが重要です。
子どもの都合で勤務時間の変更が必要になった場合も、単に「働けません」と伝えるのではなく、利用したい制度、可能な勤務時間、対応できない時間帯を整理して相談すると、会社との認識を合わせやすくなります。
退職を勧められたときにすぐ同意しない
試用期間中に「合わないので辞めてほしい」「自主退職したほうがよい」と言われても、その場で退職届を書く必要はありません。まず、これは会社からの解雇なのか、退職の提案なのかを確認します。
退職に同意すると、後から会社による解雇として争うことが難しくなる場合があります。退職届や合意書への署名を求められた場合は、書面の内容を読み、理由や退職日、給与などの条件を確認してから判断してください。
解雇を告げられた場合は、解雇理由を記載した証明書を請求できます。また、解雇予告については、原則として30日前の予告または予告に代わる手当が必要ですが、雇入れ後14日以内の試用期間中などには例外があります。この例外は「理由なく解雇できる」という意味ではありません。詳しい扱いは、労働基準法で確認できます。
子育てママが試用期間中に残しておきたい記録
問題が起きたときに事実関係を確認できるよう、次の記録を残しておきましょう。
- 雇用契約書、労働条件通知書、就業規則
- 求人票や採用時のメール
- 勤務時間、残業、遅刻、早退、休暇の記録
- 上司や人事担当者との面談内容
- 本採用の評価や改善指示の内容
- 子どもの看護や休暇制度の利用申請と会社の返答
記録は「子どもの都合で休んだ」という一言だけでなく、休暇の種類、申請日、会社の返答、業務への影響まで分かるように書くと役立ちます。
試用期間中に確認する注意点のまとめ
最初に確認するのは、試用期間の条件、本採用の評価基準、子どもの急な休みに関する制度と連絡方法です。試用期間中でも、会社は理由なく自由に解雇できるわけではありませんが、勤務状況や契約条件によって判断が分かれるため、事実を記録しておくことが大切です。
退職を求められたり、育児制度の利用を理由に不利益な扱いを受けたと感じたりした場合は、退職届にすぐ署名せず、理由と根拠を確認してください。解決が難しいときは、労働局の総合労働相談窓口など、公的な相談窓口への相談を検討しましょう。







